4種類の精製方法
コーヒーノキからコーヒーチェリーを収穫し、生豆にするまでに精製処理が行われます。この精製処理がコーヒーの味わいにも影響を与えます。どんな精製方法があるのかまとめてみました。
その前にコーヒー豆の構造について、理解しておきましょう。
コーヒーチェリーの構造
コーヒー豆はコーヒーチェリーの種子です。コーヒーチェリーとは下記のようなコーヒーの木になる果実です。
熟すと赤くなってチェリーのように見えることから、コーヒーチェリーと呼ばれています。
外側から
皮→果肉→ミューシレージ→パーチメント→種子
ミューシレージとはヌルヌルとした粘液質です。パーチメントとは種子を覆っている殻になります。脱穀することで除去します。種子がコーヒー豆となります。
コーヒー豆を出荷できる状態にするために精製処理が必要になります。そしてその精製方法は国ごとに異なることはもちろん、農園ごとにも異なります。
今回は4種類の精製方法を紹介します。
1.ウォッシュド精製法(水洗式)
収穫したコーヒーチェリーを、パルパーと呼ばれる機械を使って皮と果肉を除去し、発酵させます。その後、水洗いでミューシレージを洗い流します。パーチメントの状態になったら、天日干しや機械によって乾燥させます。乾燥後、パーチメントを脱穀し生豆を取り出します。
味は、クセがなく飲みやすくスッキリとした味わいになります。生豆の見た目もきれいになります。
工程の流れ:収穫→果肉除去→発酵→水洗いによるミューシレージ除去→乾燥→脱穀→生豆
主な採用国:アジア、アフリカ、中南米
2.ナチュラル精製法(乾燥式)
アンウォッシュドとも呼ばれています。
収穫したコーヒーチェリーをそのまま天日干しなどをして乾燥させます。乾燥後、皮、果肉、ミューシレージ、パーチメントを一気に除去し、生豆を取り出します。
味は、コーヒーチェリーのまま乾燥させることで、豆に果実の成分が染み込むことで、ウォッシュドに比べてフルーティーな味わいになります。コクや甘み、ボディ感など、その実が持つ個性を引き出しやすくなります。
また、水と使わないため地球環境にも優しい精製方法となります。
工程の流れ:収穫→乾燥→脱穀→生豆
主な採用国:ブラジル、エチオピア
3.セミウォッシュド精製法(半水洗式)
パルプドナチュラルやハニー製法とも呼ばれています。
収穫したコーヒーチェリーをパルパーで皮と果肉を除去します。ミューシレージは付いたまま乾燥させます。ウォッシュドよりも、使う水の量が少なくて済むので、地球環境に優しいというメリットもあります。
ミューシレージをどのくらい残して乾燥させるかによって、味や風味に変化を加えることができます。
工程の流れ:収穫→果肉除去→乾燥(ミューシレージは付いたまま)→脱穀→生豆
主な採用国:ブラジル、コスタリカ、中米
4.スマトラ式
インドネシアのスマトラ島では上記の3つの精製方法ではなく、独自の精製処理を行っています。そのため、スマトラ式と呼ばれています。
パルパーで皮と果肉を除去した後、一度乾燥させます。通常1~2週間乾燥させるところを、3日程度で脱穀し、パーチメントを除去します。その後、再度乾燥をさせます。この方法により、短い期間で乾燥を終えることができるというメリットがあります。
味は、独特な風味が出やすくなります。
工程の流れ:収穫→果肉除去→半乾燥→脱穀→完全乾燥→生豆
主な採用国:インドネシア(スマトラ島)
まとめ
主な精製方法は4つ
- ウォッシュド
- ナチュラル(アンウォッシュド)
- セミウォッシュド(パルプドナチュラル・ハニー製法)
- スマトラ式
コーヒー豆として、実際に飲むまでに非常に多くの人たちの努力があることが分かります。収穫をする人、それを精製する人がいるからこそ、美味しいコーヒーが飲めるわけです。感謝の気持ちが湧いてきますね。
精製は気候や環境によって、各国や農園によって違います。製法ごとに飲み比べをしてみても面白いかもしれませんね!
それでは、感謝の気持ちを持ってコーヒーを飲みましょう!